金花糖
雛壇飾りに彩りを添える砂糖菓子
金沢の雛飾りに欠かせない和菓子「金花糖」。
これは鯛やサザエ、ハマグリ、たけのこ、ナス、桃、キュウリ、ブドウなど1年の海山の幸を模った砂糖菓子で、お雛様に添えられる。
たけのこと昆布の煮物
掘りたてが自慢、春の山里の味
たけのこは昔から時間を食べるといわれるように新鮮さが第一。年輩の人の間ではたけのこの鮮度を表現するのに、魚が古くなる意味の「熟れる」という言葉を使う。金沢ではたけのこを堀りたてのうちに食べるのが当たり前のため、このような言い方をすると考えられる。
氷室まんじゅう
金沢の夏に欠かせない、飾らないまんじゅう
毎年7月1日、金沢では「氷室まんじゅう」と呼ばれるまんじゅうを食べる習慣がある。この由来は江戸時代までにさかのぼる。かつて「氷室」という氷の貯蔵庫が金沢にあり、毎年旧暦6月1日に取り出して将軍に献上していた。この氷が無事に江戸まで届くよう祈願したときにまんじゅうを供えていた。
どじょうの蒲焼き
金沢の蒲焼きにはドジョウもある
ドジョウはかつて金沢近郊の水田や湿地でたくさん獲れたが、現在は数も少なくなり、県外から仕入れている店がほとんど。作り方は、まず泥を吐かせたドジョウを生きたまま目打ちし、頭から背開きにする。骨をつけたまま3~4つのぶつ切りにし、タレをつけて2~3度焼く。タレは、醤油に水あめ(またはじろあめ)や日本酒、みりんなどを混ぜたもので、店ごとに味わいが違うため食べ比べするのもおもしろい。さばくのに非常に手間がかかるため昔に比べて店は減ったが、今なお金沢市民に親しまれている。
加賀太きゅうりのあんかけ
ほてった体を癒やす夏場のお惣菜
加賀野菜のひとつ、加賀太きゅうり。その名の通り太さが通常の数倍はある巨大きゅうりで、金沢では昔からあんかけにして食べることが多い。とてもさっぱりとした口あたりで、食欲が減退する夏場でもするっといただける。
加賀れんこん蓮蒸し
加賀れんこんのもっちり感を味わう椀物
「はす蒸し」はれんこんをすりおろして具材と混ぜ合わせて蒸した料理で、金沢では加賀野菜の一つ、加賀れんこんを使ったものが最もポピュラー。このれんこんはでんぷん質が多く、「餅れんこん」の異名を持つほど、すりおろすと粘りがぐっと増す。この粘り気を最も活かした調理法といえるのがはす蒸しで、加賀料理の定番にも挙げられる。
福梅 辻占 福徳
金沢の風情を写したような正月菓子
金沢では正月になると決まって食べる和菓子がある。
かぶら寿司
日本海側の発酵食を代表するなれずし
日本海側の発酵食を代表するなれずし
ごはんに魚をつける「なれずし」のうち、米麹を使うものを「いずし」と呼ぶ。普通のなれずしよりも甘みがあるのが特徴だ。いずしは北海道から鳥取県の日本海側までで見られ、寒い冬でも発酵が進むように米麹を加えている。いずしは体によいといわれる乳酸菌を大量に含むことでも知られる。
治部煮
加賀料理の定番といえる逸品
加賀料理を供する料亭や割烹などでよく出てくる一品が治部(治部煮)である。江戸時代初期の料理書にはすでにその名が登場し、「じぶじぶ」と煮込む時の音からその名がついたとされる説(しかし、その当時のものは「ごった煮」のような料理で今の治部煮とは違っていたという説もある)や、豊臣秀吉の兵糧奉行だった岡野治部右衛門が朝鮮から伝えた説のほか、鴨肉に粉(小麦粉または片栗粉)をまぶすという郷土料理ではあまりない調理法から南蛮渡来の説やフランス料理の「ジビエ」からついたなどがあるが、明確な記述が残っていないため推測の域を出ない。
鯛の唐蒸し
婚礼にふさわしい、豪華かつ贅沢な加賀料理の代表格
頭を付けたまま鯛を背開きにし、ニンジン、ゴボウ、ギンナン、キクラゲなどの具を加えたおからをたっぷりと詰めて蒸した「鯛の唐蒸し」は加賀料理の代表格で、特に婚礼時のハレの料理として知られる。色鮮やかな九谷の大皿に盛られ、青竹の箸をつき立てたその姿は、加賀百万石を象徴する豪快さと気品に溢れている。なぜこういう形になったかはっきりとは分かっていないが、中華料理から発展した長崎の「卓袱(しっぽく)料理」の影響を受けたという説もある。
五色生菓子
お祝い事には欠かせない、自然を表現した生菓子
慶弔ごとを大切にする金沢ならではの菓子「五色生菓子(ごしきなまがし)」。その名の通り5種類の生菓子で、婚礼や建前などお祝い事のときに配られる。
その由来は古く藩政期にさかのぼる。慶長5(1600)年、2代将軍徳川秀忠の娘・珠姫(のちの天徳院)が3代加賀藩主前田利常に輿入れしたとき、藩御用菓子屋の樫田吉蔵が創作したのが最初とされる。その後明治期に民間にも広まり、お祝いごとの菓子として定着した。