食の歳時記|婚礼
鯛の唐蒸し
婚礼にふさわしい、豪華かつ贅沢な加賀料理の代表格
頭を付けたまま鯛を背開きにし、ニンジン、ゴボウ、ギンナン、キクラゲなどの具を加えたおからをたっぷりと詰めて蒸した「鯛の唐蒸し」は加賀料理の代表格で、特に婚礼時のハレの料理として知られる。色鮮やかな九谷の大皿に盛られ、青竹の箸をつき立てたその姿は、加賀百万石を象徴する豪快さと気品に溢れている。なぜこういう形になったかはっきりとは分かっていないが、中華料理から発展した長崎の「卓袱(しっぽく)料理」の影響を受けたという説もある。
五色生菓子
お祝い事には欠かせない、自然を表現した生菓子
慶弔ごとを大切にする金沢ならではの菓子「五色生菓子(ごしきなまがし)」。その名の通り5種類の生菓子で、婚礼や建前などお祝い事のときに配られる。
その由来は古く藩政期にさかのぼる。慶長5(1600)年、2代将軍徳川秀忠の娘・珠姫(のちの天徳院)が3代加賀藩主前田利常に輿入れしたとき、藩御用菓子屋の樫田吉蔵が創作したのが最初とされる。その後明治期に民間にも広まり、お祝いごとの菓子として定着した。