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金沢の食文化

うつわ

うつわ

鯛の唐蒸しには九谷焼、治部煮には金沢漆器。料理の味を際立たせる華やかな器も、金沢の食に欠かせないもの。

料理を彩る器は良いものを大切に使う

鯛の唐蒸しには九谷焼、治部煮には金沢漆器と、料理の味を際立たせる華やかな器も金沢の食に欠かせないものである。
九谷焼、輪島塗、山中漆器など日本を代表する器の産地も県内にあり、比較的リーズナブルに入手できる恵まれた環境で、人びとは普段から良いものを手に入れて大切に使う。金継ぎや漆器修理の店も多く、気に入った器を直しながら長く使うこともできる。
また、料亭で一流の器を楽しむこともでき、今では入手困難となった逸品も実際に使うことができる。

加賀藩が奨励した茶道で器も多彩に発展

加賀藩三代藩主利常は武力の誇示を控えて幕府の警戒心を和らげながら、一方では雄藩としてのプライドを天下に示すため、文化奨励策をとったとされる。加賀藩は小堀(こぼり)遠州(えんしゅう)ら当時を代表する茶人たちと深い関係を築き、彼らのアドバイスを受けて、美術工芸のすぐれた職人を招聘して召し抱え、人材育成にも力を入れた。そういった背景で、その後誕生したのが、今も数々の茶道具の名品を生み出している「大樋(おおひ)焼」などである。
茶会の形式にのっとった食事は懐石という。懐石の基本は「一汁(いちじゅう)三菜(さんさい)」であり、江戸時代には、「三菜」を刺身(向付(むこうづけ))、煮物椀、焼き物とする形式が確立。
様々な料理に合わせて器を選ぶことも重要になり、多くの器が作られ、利用されてきた。
金沢市立中村記念美術館をはじめ、茶道具の名品コレクションを展示する美術館や博物館も金沢には多くあり、茶道文化に欠かせない器の名品を鑑賞できる。

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