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食の歳時記

食の歳時記|冬

かぶら寿司

かぶら寿し・大根寿し かぶら寿し・大根寿し日本海側の発酵食を代表するなれずし

日本海側の発酵食を代表するなれずし
ごはんに魚をつける「なれずし」のうち、米麹を使うものを「いずし」と呼ぶ。普通のなれずしよりも甘みがあるのが特徴だ。いずしは北海道から鳥取県の日本海側までで見られ、寒い冬でも発酵が進むように米麹を加えている。いずしは体によいといわれる乳酸菌を大量に含むことでも知られる。
そんないずしを代表する「かぶら寿し」。塩漬けしておいたかぶら(かぶ)の輪切りに寒ブリの身をはさみ、米麹で漬け込み発酵させたもの。金沢の冬の味覚として最近では広く知られるようになったが、米麹をつけたままいただくその見た目から“食わず嫌い”な人も多いという。かぶらのサクッとした食感と、脂がのったブリのうまみ、そして麹の甘さと酸味が絶妙にマッチし、一度食べると病みつきになる。ご飯のおかずにも酒の肴にもよく合う。
江戸時代には現在のものとほとんど変わらないかぶら寿しがあったとする記録が残るが、その発祥は定かでない。かつては武士しか食べられなかった高価なブリを、町民がかぶらで挟んで隠して食べた説や、深谷温泉(金沢市)に湯治に来た前田藩主に提供された料理のひとつが起源とする説などがある。
大根と身欠きにしんを米麹でつけた「大根寿し」も、金沢の郷土料理としてよく知られている。大根寿しに使うのは加賀野菜の源助だいこんがおすすめで、肉質が柔らかくてきめ細かいうえ辛味が少なくて甘みもあり、漬け込むと独特のうまみが出る。一般的な青首大根を使ってもおいしく仕上がる。
これらはかつて家庭で漬けていたが、現在では店で購入することが多い。日が経つにつれ発酵が進んで味が変わるので、早めに食べたほうがよい。なお、かぶら寿しは富山県でも食されていて、富山県西部ではサバ、東部ではサケをはさむものが多く、かぶらも金沢とは違う種類のものを使うなど、食べ比べてみるのもおもしろい。

問い合わせ先

石川県漬物協同組合