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食の歳時記

食の歳時記|夏

氷室まんじゅう

氷室まんじゅう 氷室まんじゅう金沢の夏に欠かせない、飾らないまんじゅう

毎年7月1日、金沢では「氷室まんじゅう」と呼ばれるまんじゅうを食べる習慣がある。この由来は江戸時代までにさかのぼる。かつて「氷室」という氷の貯蔵庫が金沢にあり、毎年旧暦6月1日に取り出して将軍に献上していた。この氷が無事に江戸まで届くよう祈願したときにまんじゅうを供えていた。5代加賀藩主前田綱紀の時代、宮中での氷室の節会に倉谷山の雪を将軍家に献上したことにちなんで、片町の道願屋彦兵衛という菓子職人があん入りのまんじゅうを考案したといわれる。その後和菓子店がこぞって真似をし、どんどん広まっていったのだろう。それ以前にも、麦の収穫に合わせて6月頃につくられた塩味の麦まんじゅうを娘の嫁ぎ先に配る習慣があり、これをヒントに考えられたと推測される。皮の色は白、赤(正確には薄桃色)、緑(読み方は「あお」)の3色で、現在は酒まんじゅうで作ることが多い。
氷室開きは昭和30(1955)年頃に廃れたものの氷室まんじゅうを食べる習慣は残り、今もなお金沢の和菓子店では7月1日前に多くの氷室まんじゅうを製造・販売している。同61年、金沢の奥座敷と呼ばれる湯涌温泉に氷室小屋が再建され、氷室開きが復活。夏の訪れを告げるイベントとして再び定着している。またいまも嫁ぎ先に持っていくという風習が残り、その際には竹に巻かれたチクワと炒り米、アンズも沿えるのが古くからのやり方だが、近年はまんじゅうとチクワを食べるだけということが多いようだ。

問い合わせ先

石川県菓子工業組合 TEL076-221-8366