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食の歳時記

食の歳時記|婚礼

五色生菓子

五色生菓子お祝い事には欠かせない、自然を表現した生菓子

慶弔ごとを大切にする金沢ならではの菓子「五色生菓子(ごしきなまがし)」。その名の通り5種類の生菓子で、婚礼や建前などお祝い事のときに配られる。
その由来は古く藩政期にさかのぼる。慶長5(1600)年、2代将軍徳川秀忠の娘・珠姫(のちの天徳院)が3代加賀藩主前田利常に輿入れしたとき、藩御用菓子屋の樫田吉蔵が創作したのが最初とされる。その後明治期に民間にも広まり、お祝いごとの菓子として定着した。
5種の生菓子は、それぞれ「日月山海里(にちげつさんかいり)」、つまり天地・自然を表現しているとされる。「日」は紅色の粉をまぶした餡入りの餅で太陽をかたどったもの。「月」が真っ白いまんじゅうで、雁を表した黒ごまをあしらうことも。「山」は円形の蒸しようかんで、水田を表現、かつては四角に切られていたという。「海」はあん入りのひし形の餅で、並べることで波を連想させる。「里」はこしあんを餅でくるみ、さらに黄色く蒸した餅米をまぶしてあり“えがら”または“いがら”まんじゅうともいわれる。また黄色い餅米をまぶしたまんじゅうをいが栗に見立てて山の幸=「山」、ようかんを「里」とする説もある。
生菓子は5種をセットにして、数個ずつ重箱に入れられる。その重箱5段ずつが大きなせいろに入れられ、せいろは2箱で“一荷(いっか)”と数える。昔はせいろが婚礼時に家の前に置かれ、式典後に親族や近隣住民に配られていたという。洋風の結婚式が増えてきた近年でも、頻繁に引き出物として活用されている。

問い合わせ先

石川県菓子工業組合 TEL076-221-8366


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